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2006/03/11

主な高気密・高断熱工法や自然エネルギー活用方法

☆ご質問008☆

高気密・高断熱工法や自然エネルギー活用工法としては、どのようなものがありますか?

☆回答はこちら↓

主な高気密・高断熱工法とそれに関連する自然エネルギー活用方法のご紹介

・(パッシブ)エアサイクル工法(1984年~)
 外装材と断熱材の間に空間(通気層)を設け、その中の空気が外装材の輻射熱で温められて上昇する力を利用して空気を循環させるシステムのことで、空気層自体を主な断熱層としており、一般的な高気密・高断熱とは異なります。断熱材など主に樹脂系建材のメーカーであるフクビ化学工業(株)が設立したエアサイクルホームシステム(株)が会員制で工務店をグループ化し(全国約1,380店)ノウハウと資材を売るフランチャイズを展開して、大掛かりな宣伝などにより急速に普及してきた工法です。フランチャイズ方式のため設計や施工方法はマニュアルで標準化されており、エアサイクルチェーンに所属する登録店でしか施工できません(御宿町には1社あります)。最近改良された工法として断熱層の両側に通気層を取る二重通気層構法を新商品として売出し後継のソーラーサーキット工法とかなり近いものとなっています。

・BB(ベストバランス)工法(アキレスUH(外張り)工法)
 BB工法は、硬質ウレタンボードで家の外周をすっぽり覆ってしまうという外断熱工法です。この作り方では、内壁と外壁の間に断熱材が入り、それぞれの間に通気層が設けられており2重通気層が作られています。断熱材の内壁側には隙間なく防湿機密シートが張りめぐらされており、これによって室内の暖かく湿った空気は外壁に触れることがなく、断熱材の両側も通気があるため湿気がたまることはないようにしています。メーカー主導でなく建築評論家の南雄三氏が研究会を組織して普及したため、全国的に広まりました。BB工法を一般化して商品化したのがアキレス外張り工法で、エアサイクル工法やソーラーサーキット工法のようにフランチャイズ方式をとっていませんので、一般の工務店でもオープンに採用できます。

・ソーラーサーキット工法(1988年~)
 鐘淵化学工業が開発した外張り断熱のフランチャイズ工法でオープン化された工法でないため指定工務店でしか工事を行えません。千葉県内には18社(そのうち8社が特約工務店)ありますが、房総半島地域には無いようです。断熱パネルの内外に二重の通気層をもち、夏季には基礎に設けたダンパーを開いて冷たい空気を室内に導くことが特徴です。最近、この工法を採用している工務店の代表者が書いた本「「いい家」が欲しい」がベストセラーになったため、広く知られるようになりました。著書の内容はわかりやすい文体でかつ一般の方には説得力のある文章で書かれていますが、ソーラーサーキット以外の工法に関しては巧みに否定する論調を展開しているため、建築専門家からは批判の声も多々あります。

・OMソーラーシステム(1987年~)
 建築的な方法や工夫によって太陽エネルギーを利用するやり方をパッシブソーラーといいますが、OMソーラーは、太陽の熱を屋根で集めて利用するパッシブソーラーシステムの手法の一つです。元東京藝術大学教授で建築家の奥村昭雄氏が考案しました。1987年からOM協会を設立して組織的な活動を展開しており、全国的には300社以上の工務店が会員となっています。

 ここでは積極的に自然エネルギーを活用しようとする「ソーラーサーキット工法」と「OMソーラーシステム」について少し詳しく比較検討してみたいと思います。

 エアサイクル工法やソーラーサーキット工法は、OMソーラーシステムのように動力によるファンを用いることなく空気の温度差による自然対流に期待しているため、特に日射を直接受ける南面に相応の壁面積が必要で、面積が不十分だと空気の循環が十分行われなくなります(そのためファンを用いることもある)。したがって建物の南側に大きく窓などの開口部を設けたデザインの建物では採用が難しくなります。今回の敷地のような環境では、せっかくの建物南側を壁で塞ぐのはちょっともったいないように思いました。また平屋建ての建物では空気の煙突効果による循環作用が小さく、2階建て以上の建物に適用すべき工法のようです。いずれにしても空気層における自然対流だけに期待すると、窓の面積を小さくしたり建物のデザインに配慮しても、得られる効果を予測したり期待通りの性能を持たせることは難しいようです。そのために結局補助的な冷暖房装置に依存することになる可能性が大きいと思われます。特に冬季においては、床下空間の温度が基礎断熱の効果と地中蓄熱の影響により17度前後に保てたとしても、室内は通常暖房機で20度以上にするため、床面から冷輻射を感じて足元が冷たく感じられます。また冬季は外部と内側の通気層とのダンパーを閉じて室内側を密閉してしまうため、機械換気設備による計画換気が必要となります。

 OMソーラーシステムはそれ自体は高気密・高断熱工法ではありません。高気密・高断熱工法の家に用いると効果のある太陽熱利用の暖(冷)房換気給湯設備システムです。暖房をしながら同時に換気も行われ、なおかつ空気床暖房ですので、正常に働いていれば冷たさを感じることはありません。動力として使用するのは、小さな送風ファンだけですから大変少ない電力で済みます(20円/日)。20年近い実績と多くの実施例があるので得られる効果を予測したり、期待通りの性能をもたせることがある程度可能です。ある程度の広い屋根面があれば平屋建てでも2階建てでも設置可能ですし、壁を大きくしなければならないとか特定のメーカーの壁材や断熱材を用いなければならないなどのデザイン的な制約も少なく大きな窓を設けることも可能です。積極的に太陽熱を活用したいとお考えならお勧めのシステムです。

 ソーラーサーキット工法を採用した場合は、フランチャイズによるので指定された断熱材などの建材を使用し、登録された指定工務店にて工事を行ってもらわなければなりませんが、OMソーラーであれば自由に複数のメーカーの多くの建材の中から最適なものを選択することができます(ただし工務店についてはやはり登録された工務店による施工を推奨しています)。

 OMソーラーシステムに関してはQ&Aが下記のURLにあり、わかりやすい解説を読むことができます。
http://www.omsolar.co.jp/sub/faq.shtml#1-5

建築設計のご相談はPDS(パシフィック・デザイン・システムズ 一級建築士事務所)へ
http://www.pdsi.co.jp

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